Solo

初演作品や委嘱作品、自らの編曲作品などを紹介します。

Index

トロンボーンとピアノのための序奏とカプリチオ  作曲 岡田久常
リヴァーブを伴うトロンボーン・ソロのための「夜の影 II」 作曲 伊藤弘之
照応・I 〜フルートとトロンボーンのための〜 作曲 金田潮兒
風紋 〜3本のトロンボーンのための〜 作曲 西部哲哉
トロンボーンとピアノのために  作曲 砂原嘉博
妖精組曲 〜Version for Trb & Pf〜  作曲 谷川マユコ
トロンボーンとピアノのための抒情的ソナチネ  作曲 砂原嘉博
トロンボーン独奏のための3章  作曲 ヲノサトル
西風の記憶−トロンボーンとピアノのための−  作曲 藤原嘉文

「西風の記憶」−トロンボーンとピアノのための−
Memories of West Wind for Trombone and Piano

作曲 藤原 嘉文

世界
初演
2013年12月13日

Deutsch Ludwigsburg BH 招聘 交流演奏会
ルードヴィヒスブルク教育大学 室内楽サロン
(Ludwigsburg BH 内)
大内邦靖(trb)  藤原嘉文(Pf)

本邦初演
2014年1月21日
ルードヴィヒスブルク教育大学 交流報告会
山梨大学 L527
大内邦靖(trb)  藤原嘉文(Pf)
再演
2015年12月4日
「環」第32回演奏会 「石桁眞禮生とその門下たち」
東京オペラシティ リサイタルホール
大内邦靖(trb)  藤原嘉文(Pf)
再演
2017年3月4日
21世紀の音楽創造 山梨の作曲家による作品コンサート
コラニー文化ホール(小ホール)
大内邦靖(trb)  藤原嘉文(Pf)
再演
2020年12月23日
藤原嘉文個展
YCC県民文化ホール(小ホール)
大内邦靖(trb)  藤原嘉文(Pf)

 

「西風の記憶−トロンボーンとピアノの為の−」について   藤原 嘉文 Web Page

 

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大内コメント

 作曲者藤原嘉文氏は、山梨大学大学院教授、昭和音楽大学非常勤講師を務め、日本現代音楽協会、日本作曲家協議会などにおいても、現代音楽界を牽引する作曲家の一人。
 この作品は、ドイツ・ルードヴィヒスブルク教育大学招聘による、交流コンサートのために作曲され、同大学室内楽ホールにおいて2013年12月12日にトロンボーン大内邦靖と作曲者自身のピアノにより世界初演されている。
 トロンボーンの長いモノローグに始まり、4度音程を基調としたテーマがドラマを紡いでいく。そして、デュアルタイムのクライマックスを経て、教会の鐘が鳴り響く夕暮れに消え入るかのように終止する。

 

楽譜サンプル

Trb. 大内邦靖 藤原嘉文(Pf)

KOOWS Edition より楽譜 絶賛発売中

(c) 2014 KOOWS all rights reserved

トロンボーン独奏のための3章
3 Movements for Trombone Solo

作曲 ヲノサトル

初演
2011年4月13日

Contemporary Sliders Unit 演奏会 委嘱作品
Salle Pavillon d'Or
(ビュッフェ・クランポン本社内サロン)
大内邦靖(trb)

 

「トロンボーン独奏のための3章」について   ヲノサトル Web Page

この作品は、大内邦靖氏との対話と共同作業に基づいて制作されました。音を取り囲む沈黙と空間に耳をすます第1楽章、欲望や力とそのコントロールを描いた第2楽章、混沌の中から再生する旋律=歌の力をテーマとする第3楽章から構成されています。

(2011年4月13日 プログラムノートより)

 

大内コメント

2011年4月13日のContemporary Sliders Unit 演奏会のために委嘱、同日初演しました。「トロンボーンの音色の魅力を活かし、間や行間(音間)により深い意味合いを持つ作品を創ってください!」とお願いしました。単なるテクニックの羅列や、物足りないアカペラ独唱的に終わることなく、完成された一人芝居を観ているような独特の世界が広がる作品ができあがりました。ヲノサトル氏の才能とご努力に感謝です!

ヲノサトル氏は、新潟大学から東京学芸大大学院へと進み、現代音楽新人賞を受賞。現代音楽のみならず、POPSの世界でも最先端を開拓し、現在は多摩美術大学準教授。

 

第1楽章 cracks

第2楽章 conflicts

第3楽章 aria

Trb. 大内邦靖

KOOWS Edition より楽譜 発売中

(c) 2011 KOOWS all rights reserved

 

トロンボーンとピアノのための抒情的ソナチネ
Sonatine Lyrique pour Trombone et Piano

作曲 砂原嘉博

初演
2008年5月24日

大内邦靖トロンボーン・ミニリサイタル
Salle Pavillon d'Or
(ビュッフェ・クランポン本社内サロン)
大内邦靖(trb) 山田直子(pf)

 

「トロンボーンとピアノのための抒情的ソナチネ」について 砂原嘉博 Web Page

 この作品は今年(2008年)の2月頃、大内さんから依頼を受けて書きました。現在私は所謂“ポピュラー音楽”のフィールドに身を置いているため、譜面を読む(書く)事があっても基本的にはコードネームを追ってある程度自由に演奏するという行為に慣れているので、全ての音を細部にまでわたって記譜するという事はなかなか新鮮でした。
 自分の作品について“解説”するのは好きではないし、また、その筆力もないので記しませんが、敢えていえば一楽章は古楽への憧れ、二楽章は古典舞曲への意識、三楽章は緩急の対比、を念頭に置いて書いたつもりです。
 この作品を手にとっていただけたら幸いです。

(2008年7月9日)

 

大内コメント

 作曲者砂原嘉博氏の作品は、このサイトですでにご紹介し、大変な反響をいただている「トロンボーンとピアノのために」に続いて2作目。2008年(5月24日)、私のリサイタルの為に委嘱し、初演いたしました。

 1楽章は、メランコリックなバラード。2楽章は、古典舞曲風のかわいらしい小品。3楽章は、スケールの大きいフィナーレ。どれも大変魅力的で、作曲者のセンスが光ります。この作品、前作よりもアカデミックな傾向が強いように思います・・・私はそこに、砂原氏の「作曲家魂−意気込み」のようなものを感じてなりません。前作から、18年もの月日が経ってしまいましたが、トロンボーン吹きにとって、またひとつ、素晴らしいレパートリーが加わった事は本当に喜ばしいことです。

 音源は、2008年6月にリサイタルで伴奏も務めていただいた山田直子さんのご協力を得てセッション録音したものです。

 

第1楽章 Andante con moto

第2楽章 Allegretto

第3楽章 Lento - Moderato - Lento

Trb. 大内邦靖 Pf. 山田直子(2008年6月18日 Nスタジオ)

KOOWS Edition よりマイナス・ワンCD-R付き楽譜 発売中

(c) 2008 KOOWS all rights reserved

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妖精組曲
(トロンボーンとピアノ版)

Fairy Suite 〜Version for Trb & Pf〜

作曲 谷川マユコ

初演
1992年6月 日

「井村君江先生を祝う会」(著書出版記念)
京王プラザホテル(東京都新宿区)
オリジナル版
大内邦靖(trb) 西尾結子(pf)米須晃司(per)谷川マユコ(nar.)

再演
1998年2月23日
大内邦靖トロンボーンリサイタル
狛江エプタザール(東京都狛江市)
トロンボーン、ピアノとパーカッション版
大内邦靖(trb) 平井敬子(pf) (per)
再演
2006年5月20日
大内邦靖トロンボーンミニコンサート&クリニック
久世エスパス(岡山県真庭市)
トロンボーンとピアノ版
大内邦靖(trb・nar) 長尾千枝(pf)
再演
2008年5月24日
大内邦靖トロンボーンミニリサイタル
Salle Pavillon d'Or(ビュッフェ・クランポン本社内)
大内邦靖(trb・nar) 山田直子(pf)
再演
2009年8月15日
静岡県立富士高等学校 富友会総会
吹奏楽部創部50周年記念 ジョイントリサイタル
富士市交流プラザ ホール
大内邦靖(trb・nar) 渡辺浩代(pf)

 

「妖精組曲」について 谷川マユコ

 ヨーロッパ特にイギリスに古くから伝承されている「妖精」の話を題材に音楽とお話で綴った組曲。妖精とは、所謂羽の生えたかわいい女の子ではなく、超自然なものの化身、丁度日本で言う妖怪に近いのでは・・・・「妖精」の種類は限りない。それだけ題材としては豊富である。高度な技巧というより情景を大切した。

 この組曲の他にも金管2本とティンパニやマリンバ等の打楽器入りのもの木管2本と打楽器、トロンボーンと打楽器のみの曲もある。実はこの組曲も原曲はトロンボーンとピアノの他に小物の打楽器が入っている。

 大内氏には昔から非常にお世話になっています。表現豊かな彼のトロンボーンに魅せられ、また冒険心も人一倍あり、加えて芸達者な人なので、演奏をお願いする機会も多かったと思う。何故かボンゴまで叩いていただいた時もあります。ここだけの話。

 

大内コメント

 谷川マユコさんは、私と大学・大学院時代の同級生で、現在、洗足学園音楽大学の講師を務めていらっしゃいます。学生時代から彼女の作品の初演には、数多く関わってきました。旋法(モード)を使った宗教曲的な作品を創作していると思っていたら、いつの間にか「妖精」を題材に打楽器を効果的に使った作品を量産するようになりました。これがものすごくハマった!旋法やホールトーン(全音階)的な音使いが「妖精」の雰囲気を見事に描き出し、独創的なの世界観を確立したように思います。トロンボーンと2人の打楽器奏者のための妖精組曲、トランペット・トロンボーンと大規模なパーカッション群による妖精組曲、木管楽器と打楽器のものなど、それぞれ違った妖精を題材に色彩感あふれる作品が多数あるのですが、絶妙な音使いをさりげなくやってのけるところは「流石!」と言うほかありません。「通(つう)」を唸らせる作品群です。

 その中でも特に印象深いこの作品は、もともとトロンボーンとピアノ、パーカッションとナレーターという編成で書かれたもので、1992年、私も初演に携わりました。不思議な雰囲気が大変気に入って、1998年のリサイタルで音楽部分のみを演奏させてもらいました。2006年にソロのコンサートをする機会にめぐりあった際に、ナレーターを兼ねたトロンボーン奏者とピアニスト用に作曲家自身に手直ししてもらったのが、今回ご紹介する版です。

 「言葉」と「音楽」という材料から、脳が「映像(妖精の姿)」を紡ぎ出そうとフル稼働する・・・聴き手が、それぞれの感性でオリジナルの「妖精」を心の中に描き出す・・・これはまさに「芸術活動」そのものと言えるのではないでしょうか。この作品は、受け手の芸術活動をすごい勢いで誘発するところに、高い価値があると考えています。

 素人のナレーションは、つたなくて大変お恥ずかしいのですが、プロのナレーターが上手にお話しして行うパフォーマンスよりも、この方がずっと、プレーヤーと聴衆との関係が近いものになるのでは・・・と考えています。親が子に読み聞かせするように、ヘタなりに伝わる何か(・・・それは、物語の内容とは直接結びつかないものかもしれません・・・)があるのではないでしょうか?

序曲

1. 月夜の輪踊り

2. 毛むくじゃらボガード

3. 片足靴屋のレプラホーン

終曲

 

Trb. Nar. 大内邦靖 Pf. 山田直子(2007年6月17日 Nスタジオ)

KOOWS Edition よりマイナス・ワンCD-R付き楽譜 発売中

(c) 2005 KOOWS all rights reserved

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トロンボーンとピアノのために
For Trombone and Piano

作曲 砂原嘉博

初演
1990年11月 日

小金井祭音楽科コンサート
東京学芸大学音楽科ホール
大内邦靖(trb) 平岡いづみ(pf)

再演
2006年3月13日
ビュッフェ・クランポン社 クルトワ・プレゼンテーション
フォーシーズンズホテル椿山荘 ボールルーム
大内邦靖(trb) 山田直子(pf)

 

「トロンボーンとピアノのために」について 砂原嘉博 Web Page

16年も前に作った作品が音になるとは思ってもみませんでした。長い間作品をあたためてくれて感謝します。作品を作ったのがあまりに昔なので、作曲上の細かいことなどは忘れてしまいました。メロディーに身を任せて楽しんでください。

 

大内コメント

 すっかりコンテンポラリー専科の様相を呈してきたこのページですが、今回ご紹介するのはかなりポップな作品です。

 私が大学生の頃、在学中にもかかわらず、すでに第一線でジャズピアニストとして活躍されていた作曲者の砂原嘉博さん。学園祭のコンサートなどで発表される氏の作品や練習室での氏のすばらしい演奏に惚れ込んで、無理矢理お願いして書いてもらったのがこの作品。初演も大好評でしたので、ずっと大事に再演の機会を狙っていたのですが、なかなかタイミングが合わず16年経ってしまいました。

 第1楽章アンダンテはバラード。第2楽章アレグレットはサンバのリズムを基調に書かれています。メロディの美しさは音楽の持つ癒しの力を引き出してくれます。クラシック系、ポップス系、両方ののトロンボーン奏者にとって一服の清涼剤的な作品になってくれると期待しています。

 音源は、2005年暮れにウィスパートリオの山田直子さんのご協力を得てセッション録音したものです。一部、オプションとして1オクターブ高く演奏しているところがあります。記譜通りですと、広く一般の方々にも演奏していただける音域です。

 KOOWS Edition より楽譜が出版されています。

 

Trb. 大内邦靖 Pf. 山田直子(2005年12月28日 Nスタジオ)

KOOWS Edition より楽譜 発売中

(c) 2005 KOOWS all rights reserved

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風紋 〜3本のトロンボーンのための〜
FU-MON  for 3 Trombones

作曲 西部哲哉

初演
1997年3月29日


グループ「屮(そう)」第十二回作曲作品発表会 第二夜
音楽の友ホール
神谷敏、桑田晃、大内邦靖(Trb.)

再演
2007年2月8日 村田厚生トロンボーンリサイタル 「トロンボーンの新事実 vol.4」
すみだトリフォニーホール
村田厚生、加藤直明、大内 邦靖(Trb.)

 

「風紋」について  西部哲哉

風紋…風の描いた砂丘の模様。砂の意志でなく、風の意志でもなく、ただ偶然に描き出されたタブロー。
この作品で、私は風のように気儘に、砂のように抗わず、音の綾を織り出してみた。
トロンボーンという吹奏楽器こそ、「風」に最も相応しい。

 

大内コメント

 今回ご紹介するのは、トロンボーンの3重奏。「Solo」のページで取り上げることが相応しいかどうか迷いましたが、このページもすっかりコンテンポラリー(現代音楽)のページとして定着しつつあるので、むしろ、ご覧の皆さんの御期待に応えられるのではと考えました。

 作曲家の西部哲哉氏は数々のコンクール入賞歴をお持ちのすばらしい作曲家です。この作品を創るにあたっても、トロンボーンについてかなり綿密にリサーチをされたと思われます。楽器の性能や特性を生かしたトロンボーンならではの逸品が生まれました。

 四分音(半音の半分)がふんだんに使われていますが、隣あった音と同時に使われることで独特の「波」を作り出し、絶大な効果を上げています。風によって飛ばされ、微妙に動く砂を間近で見ているような錯覚に陥るほどの描写力、表現力。全体を支配しているドライでモノクロの印象がなんともシブいです。トロンボーン奏者としては、砂に埋もれさせたくない作品です。

 共演させていただいた、神谷敏氏(元NHK交響楽団主席トロンボーン奏者、桐朋学園大学教授)桑田晃氏(読売日本交響楽団主席トロンボーン奏者)は、お二人とも日本を代表する最高のトロンボーン奏者で、その高い演奏技術や音楽性はいうまでもありませんが、美しい音色と音楽に対する洞察力の深さに大変刺激を受けました。

 価値ある作品に出会えたこと、尊敬するお二人の演奏家とクリエーティヴな仕事ができたことは、私にとってこの上ない幸せでした。また、音源公開に当たりご協力いただけましたことも心より感謝しています。

 

Trb.1 神谷敏、Trb.2 桑田晃、Trb.3 大内邦靖(1997年3月29日)

作品や楽譜などに関するお問い合わせは、こちらから

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照応・I 〜フルートとトロンボーンのための〜
Correspondance・I  pour Flute et Trombone

作曲 金田潮兒

初演
1996年11月2日


「増永弘昭フルートリサイタル〜6曲の新作の夕べ〜」
津田ホール
増永弘昭(Fl) 大内邦靖(trb)

再演
2008年2月8日


「コンテンポラリー・デュオ・ライヴ フルートとトロンボーン」
パウエルフルートジャパン アーティストサロン"ドルチェ"
永井 由比(Fl) 村田 厚生 (trb)

CD

HIROAKI MASUNAGA(1942〜2001)
Floeten Abend  現代編
ACLD-9038/39(2枚組) 税抜価格¥3,800
ALM RECORDS/有限会社コジマ録音
 
CD販売

送料・消費税込み ¥3,800 で販売いたします。
以下のメールフォームより、お名前とご住所(含 郵便番号)、お電話番号をお知らせください。

代引き郵便にてお送りいたします。
(料金は、受け取りの際にお支払いください。)


「照応・I」について  金田潮兒

 フルーティスト増永弘昭さんのために書いた作品としては2作目。前作(フルートと二十絃箏)では、二つの楽器のソロの部分が中心になるように考えましたが、この作品では二つの楽器の協演・競演の部分がメインになるように作りました。
 「照応」という言葉は、手許の辞書に(1)互いに関連して応じあうこと(2)文字の前後が相応することとあります。フルートとトロンボーンという一見懸け離れているように思える2つの楽器のための曲には相応しいネーミングではないかと思っています。

 

大内コメント

 作曲者 金田潮兒氏は日本を代表する作曲家の一人で、現在、東京学芸大学教授。私の大学時代の作曲の恩師(私は決して良い生徒ではありませんでしたが・・・)でもあります。いつも面白いことばかりおっしゃっている気さくなお人柄が大好きなのですが、実はかなりのロマンチストと拝察いたしました。この作品も、フレーズのひとつひとつが深い情感に溢れています。それだけでなく、フルートとトロンボーンの、会場をピリピリさせるほどの緊張状態から最後に同音に向かって集約していく展開もドラマチックです。現代音楽というと無機的なイメージをお持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この作品はそんなイメージを払拭する「深さ」を持っています。

 共演させていただいた増永弘昭氏は、日本のフルート界に大きな功績を残した偉大なプレーヤーでしたが、大変残念なことに2001年に病気のため永眠されました。当時、まだ駆け出しの若僧だった私に対し、とても紳士に接してくださり恐縮したことと、氏の音や音楽に触発され、必死にくっついていったことを良く覚えています。この共演は、私にとっては貴重な財産となりました。2004年より奥様によりWeb Site が開設され、氏の偉大な足跡がまとめられています。

フルーティスト 増永弘昭 新たなる旅路
http://www.k3.dion.ne.jp/~masunaga/index.html
(CD収録曲の試聴が可能です。)

 

大内コメント II(2007年10月11日)
現代音楽のスペシャリスト村田厚生(Trb)氏と永井 由比(Fl)氏による再演が決まりました(2008/2/8 パウエルフルートジャパン アーティストサロン"ドルチェ")。音楽作品は・・・特に現代作品は、再演されることに価値があると思います。再演が最大の賛辞であり、評価であると言えるのではないでしょうか?質の高い作品に携わることができた事も大変幸せですが、「在らせよう(WAVE インタビュー参照)」として取り組んできたこのサイトが、少しでもその役に立てたことがとても嬉しいです。日本を代表するトッププレーヤーによる、世紀の名演に期待しています。

 

作品や楽譜、CDなどに関するお問い合わせは、こちらから

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リヴァーブを伴うトロンボーン・ソロのための「夜の影 II」
Shadows of Night II for trombone solo with reverberation system

作曲 伊藤 弘之

初演
1998年8月30日
秋吉台20世紀音楽セミナー&フェスティヴァル
山口県秋吉台芸術村(世界初演)
マイク・スヴォボダ Mike Svoboda (trb)
再演
2000年3月19日
トロンボーン・フェスタ(現代の音楽展2000第5夜)
東京 北区滝野川会館
大内邦靖(trb)
再演
2000年7月18日
入野義朗没後20周年 コンサートIII JMLの現在 
東京 北とぴあ・つつじホール
大内邦靖(trb)
再演
2000年12月15日
作曲家集団Minus Six 第3回作品展
東京 すみだトリフォニー小ホール
大内邦靖(trb)
再演
2004年11月3日
Power and Poetry, New Music Classics for trombone
東京 渋谷・公園通りクラシックス
マイク・スボヴォダ Mike Svoboda (trb)


「夜の影 II」について   伊藤弘之 Web Page

 ふんだんに用いられる四分音、スピードが絶えず変化する連打音やトリルのつらなり、電気的なリヴァーブによる効果・・・これらが複雑に絡み合いながら、少しゆがんだ感じの、ちょっとフラジャイルな質感をもった、揺れるようなたゆたうような印象の、そして美しくメロウな響きや旋律が、独奏トロンボーンから紡ぎだされて行きます。

 初演はドイツを中心に国際的に活躍するトロンボーン奏者マイク・スボヴォダさんが1998年にしてくれました。(彼は2004年の来日の折にも再演してくれました。)また、このウェブサイトの管理者であり、私がたいへん信頼を寄せているトロンボーン奏者の大内邦靖さんも、東京で何度か演奏してくれています。2人とも、ソリストとして非常に優れたトロンボーン奏者であるわけですが、とても素晴らしい出来栄えの演奏でこの曲の持ち味を十分に引きだしてくれています。

 今回、大内さんのサイトを通して、この作品が、より多くの方々に聴いていただけるようになったことをたいへん嬉しく思っています。実際の演奏には、極限的な演奏技術と高い音楽性が要求される曲ですが、今後、是非、たくさんのトロンボーン奏者の方々に演奏していっていただきたいと思っています。

 

大内コメント

 作曲者 伊藤弘之氏は世界を股にかけて大活躍中の現代音楽作曲家。氏の頭の中では、きっと私のような凡人には想像もできないような高度な活動が行われていると思われます。

 この作品の楽譜を初めていただいたときは、あまりに難しそうで「失踪しちゃおうかな・・」と思うくらいでした(笑)。しかし、取り組んでみると、確かに超難曲ではありますが、作品にのめり込んでいく自分を感じました。恐らくそれは、この作品が深い音楽性に裏打ちされているからに違いありません。アイデアだけの現代音楽は五万とありますが、実を伴った本当にいい作品はひとにぎりです。この作品に出会えたことを、心からうれしく思っています。

 半音のそのまた半分(四分音)という微妙な音が当たり前にでてきます。最初は苦労しましたが、ソルフェージュできるようになると、半音の幅がとても広く感じられるようになりました。今では、妻から「よっ!微分音奏者!」と讃えられています。・・・・・?

 

公開終了
音源MP3

Trb. 大内邦靖 (2000年7月18日)

(JASRAC許諾;J050211840号 終了)
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トロンボーンとピアノのための序奏とカプリチオ
Introduction and Capriccio for Trombone and Piano

作曲 岡田 久常

初演
1991年11月13日


「現代音楽作品の夕べ」〜関西現代音楽交流協会主催
豊中市立ローズ文化ホール
大内邦靖(trb) 岡田久常(pf)

再演
2004年9月5日
「岡田久常 作曲活動20周年記念作品展」
ヤマハ音楽院研修ホール
大内邦靖(trb)

 

「トロンボーンとピアノのための序奏とカプリチオ」について  岡田久常


 大学時代の友人であった大内氏に演奏してもらうことを想定して作曲した作品。

 緊張感を漂わせながらトロンボーンとピアノが自由に互いを主張しながらかけ合うようなイメージの序奏部、そして後半のカプリチオは複調の要素を採り入れた急速な部分とトロンボーンのカデンツァ、ピアノのオスティナートにのせてトロンボーンが即興的旋律を奏でる3部から成ります。

 作曲の過程では、瞬間のひらめきのままに作曲をしていった作品です。

 

大内コメント

 作曲者 岡田久常氏はヤマハのシステム講師として、また、SPICY4(クラリネット3重奏+アコーディオン)の作・編曲家兼アコーディオン奏者として活躍中。

 音楽的にも技術的にも高度な要求があるものの、作風は非常に正統的で、今後トロンボーン奏者にとって貴重な邦人作品のレパートリーになるのではないでしょうか。
 リサイタルピースとして、また、コンクールのなどの課題曲などとしても、ふさわしいクォリティを備えた逸品です。

 

Trb. 大内邦靖  Pf. 岡田久常 (2004年10月1日 Nスタジオ)

楽譜が、KOOWS Edition より出版されています。

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