1996年 9月号

ロングトーンは基本中の基本(2)

 

 前号の譜例@で感覚をつかんだら、いよいよ正統派ロングトーンだ。

 譜例Aはあくまで参考資料。ダイナミックを変えるも良し、もっとずーっと長くのばしたっていい。とにかく、出しやすい音からムリせずやってみてほしい。前号でも言ったように、身体にムリをして音をのばすのは一番良くない。うまくまっすぐのびないときは、お茶でも飲みながら少し気分転換してから、もう一度取り組んでみるといい。特にロングトーンではリラックスすることが大切なので、無意識に身体に力が入っているときは何をしてもダメだ。焦らずゆっくり取り組む心のゆとりがほしいものだ。・・・どんなに、忙しいときでもね。

 

美しく始まり、美しく終わる

さて、前号で挙げた「ロングトーン大事なところ」4項目はちゃんと覚えているかな?
  A 明確に発音されること。
  B 美しい音質であること。
  C 音量や音程、音質などが全く変化せず、まっすぐのびること。
  D 音の終わりに自然な余韻を残すこと。
A〜C は前号で解説したので、今月はDについて考えてみよう。

 ロングトーンは、良い音でまっすぐのばすだけでなく、美しく始まり美しく終わることも重要な課題だ。譜例Aは8拍目まで音をのばすのだが、この部分の音のなくなり方が自然でなくてはならない。パーアッといきなり電源が切れたような終わりかた(図1)や、パーンニャッなんて最後のひと押し(図2)は絶対禁止。パーンと最後に「ン」の音が入るように自然に息を空気に返してあげよう。
 コツは、口や舌が「何もしない」こと。特に音の終わりでは舌を絶対動かしてはいけない。今の段階では、舌で音を止めるのは懲役10年に匹敵する大罪だぞ。そういうことをしている人は、悪いことはいわないからすぐにやめよう。

 2ヶ月に渡ってロングトーンについて話したけれど、ロングトーンをはじめとする基礎練習やウォームアップ、トレーニングといったものは3度の食事と一緒で、いっぺんに食べ過ぎてもおなかをこわすし、だからといって食べなかったら死んじゃいます。毎日、腹8分目の摂取が望ましいようですよ。