1996年 4月号 根性なんて、くそくらえ! |
皆さん、はじめまして。大内邦靖です。今月から1年間、このBPセミナーで文字を通して皆さんにレッスンするという難問に挑戦することになりました。なるべく分かりやすいセミナーにしていきたいと思います。毎月欠かさず読んでくださいね。 私は玉川大学でトロンボーンを教えるかたわら、ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウ(注1)やブラスアンサンブル・ルスティーク、ハイパートロンボーンズなどのメンバーとして活動しています。皆さんの街にもコンサートで行くことがあるかもしれません。その時は気軽に声をかけて疑問点など訊いてください。また、編集部への質問の手紙もOKですよ。 (注1)現在は所属しておりません。2005 ●レッスンを始める前に・・・ 私が小さい頃は、テレビで「巨人の星」なんてアニメを放送していて「試練の道」だの「ド根性」といった歌詞の軍歌調の主題歌が流れていたものでした。これは、子供たちへの一種の応援歌だったわけですが、いまはこんなの流行りません。最近はSMAPが〜がんばりましょう!〜なんて歌っている時代ですもの。すっかり時代遅れですよね! トロンボーンの練習だってそうです。根性で苦痛に耐えて耐えてうまくなるなんて時代はとうの昔に終わっています。皆さんは、効率よくスマートにうまくなりましょう。そのためには何が必要なのでしょうか。
練習とひと言で言っても、色々な練習があります。私は練習を効率の良いものにするために、以下の3つに分けて考えています。 1)トレーニング:トロンボーンを吹くには普段の生活の中ではあまり使われていない筋肉や筋力が必要となります。(それは豊かな呼吸であり、アンブシュアを形作る筋肉であり、もっといえば楽器を支える左腕の筋力などです。)また、それらをバランス良く安定して使うためにも日々の鍛錬が必要です。皆さんが「基礎練習」と呼んでいるものの多くがこの「トレーニング」です。 2)プラクティス:トレーニングによって得られた力や技を組み合わせ、パッセージを上手に吹けるようにする練習がプラクティスです。これはとても緻密な練習で、皆さんが何気なく曲を反復練習しているのはプラクティスとは呼べません。むしろ、次に挙げる「プレイ」に近いでしょう。 3)プレイ:演奏家は皆、人前で演奏しなければなりません。人前で演奏するときは、間違ったからといって止まったり、吹き直したりするわけにはいきません。「プレイ」とは人前で演奏しているときのようにある程度続けて演奏し、フレーズごとのバランスや体力の配分などを考えながら音楽づくりをする練習です。また、ここで思いっきり音楽を楽しんでみるのも大切なことです。 この3つの練習のどれが欠けてもステキな演奏をすることはできません。皆さんは「プレイ」だけの練習になっていませんか?この3つの練習についての具体的な内容は次回からのセミナーで紹介していきましょう。
先ほどもお話ししたように、私は「根性」という言葉があまり好きになれません。“ボクは根性でトロンボーンがんばります!”という生徒さんには、“体に悪いからやめとけば・・・”とアドヴァイスしています。 さあ、次回から本格的に ♪ が・ん・ば・り・ま・しょ・う!
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